10年一括返済融資のメリット、キャッシュフローの仕組みとは?-承認のメリット融資編10

2016.02.29投稿者|カテゴリー|公的資金

10年一括返済の融資は劣後債の一種

みなさん、こんにちは。

前回、10年一括返済の融資の紹介をしましたが、そんな融資があるのかと驚かれた方も多いと思います。

今回は、10年一括返済融資のメリットの1つ、10年間返済不要という仕組みをもう少し詳しくお話したいと思います。

 

10年間返済不要な融資、これは劣後債という性質をもちます。

劣後債とは、一般の債権よりも弁済の順位が劣る社債のことで、会社が解散した場合には、他の債権者への支払後に弁済される債権です。

こうした性質から、劣後債は株式に近い借入と言え、こういった意味から金融検査上、資本金として組み入れてくれるのです。

 

とはいえ、劣後債は株式ではないので、貸し手が株主のように株主総会で意見するというようなことはありません。

従って、10年一括返済の融資を利用したからと言って、銀行がみなさんの会社の経営に口を出してくることはありません。

定期的な経営状況の報告のみで大丈夫です。

 

10年後の一括返済も心配不要、事業に投資すべきキャッシュフローの仕組みとは

実際に10年一括返済を利用したら、10年間どのような資金運用になるのでしょうか。

具体例を挙げて説明したいと思います。

 

例えば、飲食店を営むA社が、経営革新の承認を受けて、10年一括返済制度を利用し、1億円を金利2%で借りたとします。

通常の融資だと、毎年1000万円ずつ返済し、借りた初年度の金利は200万円、翌年の金利は180万円(9000万円×2%)、というように返済していきます。

 

しかし、10年一括返済の融資の場合は、違います。

元本の1億円は10年後に一括返済し、金利は1年から10年にかけて、毎年変動金利で支払うことになります。

変動金利は、業績がいい場合には高く(4%程度)、業績が悪いと低く(1.5%程度)なる業績に連動する金利です。

 

業績に連動する金利というと、業績を上げることに心配になる方もいるかもしれません。

ここで注目すべきは、通常なら返済すべき元金である毎年1,000万円が資金繰りに活用できるということです。

 

先ほどのA社の例で、返済に回らないキャッシュフローの1,000万円を経営革新事業に投資し、その利益率を10%とすると、

1000万円×10年×(10%-金利)=利益

とすることも可能になるのです。

 

心配性な人は、「そうは言っても、10年後に1億円を一括で返すのは無理だ」と考えるかもしれません。

でも大丈夫です。

劣後債と言いましたが、これはあくまで融資制度です。

つまり、10年後の返済時に通常借入に借り換えて分割返済すればいいのです。

場合によっては、再度10年一括返済融資で折り返し融資をお願いすることも可能です。

 

これだけでも、早速10年一括返済融資を利用したくなった方もいると思います。

次回は、10年一括返済融資のもう一つのメリットを紹介したいと思います。

 

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